こんにちは、文京区議会議員のぐちけんたろうです。
18歳以下の子どもを持つ世帯に一律10万円を給付する案が国会で取り沙汰されています。昨年一括に10万円給付したときと同じように所得制限を設けないということでしたが、意外にも世間の反応がよくありません。一体何が起きているのでしょうか。
そもそも今回の10万円一律給付というのは公明党が独自に出していた選挙公約です。
具体策の第一に掲げているのが、0歳から高校3年生まで1人一律10万円相当を支援する「未来応援給付」だ。コロナ禍の長期化による臨時休校や学校行事の中止などで、子どもや保護者の精神的、経済的な負担が重くなっている。子どもたちを社会全体で応援し、未来に対して希望を持てるようにしたい。=公明党ニュース2021年10月19日付
対する自民党は今回の給付金は2兆円かかると言われバラマキ批判を気にして所得制限なしには慎重です。2020年4月岸田政調会長(当時)は困窮世帯限定の30万円給付を打ち出したものの公明党と二階幹事長に覆された経験があります。その時の経験から現金給付には意欲的なものの世帯限定にはこだわりを見せています。ただ当然政調会長当時と首相になった現在では立場や考えも変わり同じような考えではないかもしれませんし、選挙後にお金を配るというのはバラマキ批判と言われても仕方がありません。
現金給付の問題点はそのまま貯蓄に回ってしまう点です。前回の10万円一律給付についても貯蓄に回り消費が換気されなかったという点が指摘されています。ただ、前回については緊急性や公平性を考慮し現金給付になったのはやむを得なかったと思います。今回は昨年のような緊急性が薄れている以上貯蓄に回らない形で何らかの負担金、例えば学費や医療費介助費などの日常的に利用しているもののサービスを10万円分国が負担するという形にしたほうが、分かりやすく貯蓄に回らないのではないでしょうか。タダで貰えるなら貰いたいというのはもちろん誰でもそうです。しかし、その財源は国債からなる借金であり、結果的に給付を受けた今の18歳以下の子どもたちが借金を背負う形になるのは間違いありません。その昔、1999年当時の小渕内閣が掲げた地域振興券も公明党の発案で始まり6200億円使ってバラマキ批判がなされました。また2009年の麻生内閣でも公明党が発案した定額給付金がなされ同じく2兆円使って目に見える経済効果がなかったのはご記憶の方も多いと思います。今回も実施されるかどうかはわかりませんが、10年前と同じような議論が起こること自体、国政がバラマキ体質から脱却できていないことを示すものではないでしょうか。
コロナ下に限定した自治体独自の給付金は東京23区内でも行われており、昨年千代田区で12万円(=千代田区特別支援給付金について)品川区で3万円(=しながわ活力給付金)が一律給付されています。当時のブログでもお伝えした文京区でも一律給付ができないかどうかの内容について、文京区の財政課長は、目的もない財政基金の取り崩しには慎重でしたし行政として効果の見えにくい現金給付には後ろ向きでありました。国と文京区のような地方自治体では財政基金と呼ばれる貯金のようなものの金額が全く違うので参考にならないかもしれませんが、お金を配るというのは効果と費用を考えると難しい制作であることは間違いありません。
臨時国会が開かれる前ではありますが、両党間で現時点でも調整が続いており行方を見守りたいと思います。