2021年10月31日に第49回衆議院議員選挙が行われ即日開票されました。
発足わずか一ヶ月もない短い期間でありましたが岸田政権への審判が下されました。自民党、立憲民主党ともに数は減ったものの、中身は全く違うものと言えます。自民党にとっては歴史的大勝した2017年の選挙からわずか15しか減らなかったことは実質的な勝利であり選挙前の30議席減などが信じられないような獲得議席数です。かたや立憲民主党ですが、同じく2017年に希望の党をめぐる小池百合子都知事の排除発言などで、圧倒的な追い風もあった選挙で勢いを持って設立された、当時の立憲民主党の獲得状況から考えると、今回の結果で公示前より数が減っているのはこの4年間の活動が評価されなかったと言えます。さらに政権交代という看板を掲げ共闘を進めていた立憲民主党、共産党が数を減らしているのは一つの答えではないでしょうか。有権者の選択からみて取ると自民党公明党の勝ち、立憲・共産の負けと言えるのではないでしょうか。
自民党の獲得した261議席は衆議院における絶対安定多数※となり圧倒的な勝利という結果です。※絶対安定多数というのは各委員会の委員長ポストを独占した上で各委員会の半数に委員を送ることができ、委員会の採決が事実上独占できるという数字です。(委員長、並びに委員の数は各党の人数に応じて按分されます)議会人として申し上げますと、どんな法案でも一党単独で採択不採択が可能でありこれはもう圧倒的勝利と言える数です。
今回の議席数や、各党首のコメント、各候補者の各得票数などを見ると国民の多くの選択が政権は自民党のままで自民党自体の自浄作用を期待するというイメージを受けました。2009年に民主党政権が変わったときは、小泉政権が終わり短命内閣が続いていた中で「何かを変えたい、自民党では変われない」という空気に満ちていました。参議院で民主党多数のねじれ国会になり都議選でも自民党が数を減らすなど着々と政権交代への地ならしが進んでいました。そうして迎えた2009年の第45回衆議院議員総選挙で民主党政権が誕生し、細川内閣以来の本格的な政権交代が行われました。あのときの熱狂と興奮はまだ20代であった私もよく覚えています。今振り返ると民主党は初めての政権で分からないことも多く、国民の支持が得られないまま自民党政権へ揺り戻しが起こってしまい、そのことを沢山の人が覚えてしまった結果、政権交代=不安定というイメージに繋がったように思います。
今回の選挙結果では大きく変わらなくても良い(政権与党は変えなくて良い)から、現状を少しずつ良くしてほしいという思いが表れたように感じます。
政治は生活です。
消費税のような目に見える身近なお金も、世界の中の日本の立ち位置の外交や安全保障。私達の日々使っている電気水道などのエネルギー政策や環境問題対策。税率や社会保障など将来の日本に向けた蓄えづくりなど様々な課題はすべて政治が担うことであり私達の生活そのものです。今の枠組みのままで良いので細かい部分を時代に合わせて変えて良くしてほしいという願いが261議席という数字を受けて岸田首相は国の舵取りを行っていただきたいと思います。